無口な君は、誰よりも綺麗だった。

飛鳥が鍵を取り出して扉を開ける。


カチャ。


「どうぞ。」


「お、お邪魔します……。」

少し緊張しながら家の中へ入る。

すると――。

「にゃーん……。」


「……!」

聞き覚えのある、可愛い声。


「ただいま、メル。」


飛鳥が優しく声をかける。

すると。

白くてふわふわの猫が、こちらへ近づいてきた。


「か、可愛い……!」


思わず声が漏れる。

久しぶりに会ったメルちゃんは、昔と何も変わっていなかった。

ふわふわの毛。

大きな瞳。

そして、人懐っこい性格。

「メル、覚えてるの?」

飛鳥がそう言うと、メルちゃんは私の足元へすり寄ってくる。

「……。」

その姿を見ていると。

なんだか急に笑いが込み上げてきた。

「ふふっ。」

「どうした?」

飛鳥が不思議そうに首を傾げる。

「いや……。飛鳥がメルちゃんに話しかけてるの、なんか懐かしくて。」

そう言うと、飛鳥は少し気まずそうに視線を逸らした。

「……普通だろ。」

そんなやり取りをしていると。

「詩。」

「え?」

いつの間にか飛鳥がタオルを持ってきていた。

そして――。

ふわっ。

優しく頭からタオルをかけられる。

「わあっ……。ありがとう。」


「風邪引くからな。」

飛鳥は少し呆れたように笑った。


「そんなところで立ってないで、上がりなよ。」


私は慌てて首を振る。


「でも……私、びしょ濡れだし。
お家、濡れちゃうから……。」


すると飛鳥は迷うことなく答えた。