無口な君は、誰よりも綺麗だった。

(……あぁ。)

さっきまで苦しかった胸が、不思議なくらい軽くなっていく。

(この声は……俺を励まそうとしてくれてるのか。)


一曲歌い終えると、園崎さんは静かにギターをケースへしまった。


そして何事もなかったかのように眼鏡とマスクをつけ、教室を出ようとする。


「待って!」


思わず声を掛ける。


園崎さんの足が止まる。


「俺……好きです。」


「…………は?」

初めて見る、少しだけ驚いた表情。


俺は慌てて首を横に振った。

「ち、違う…園崎さんの歌声が、好きなんだ。」


「…………。」


「また、聴きに来てもいい?」


静かな沈黙が流れる。


やがて園崎さんは小さく俯き、ぽつりと呟いた。


「…………勝手にしてください。」


その言葉を残し、園崎さんは静かに教室を出ていく。


閉まった扉を見つめながら、俺は思わず笑ってしまった。

(“ダメ”じゃなかった。)


(また、あの歌が聴ける。)

そんな小さな嬉しさが、胸いっぱいに広がっていた。