無口な君は、誰よりも綺麗だった。

気づけば、俺は家に帰っていた。

玄関を開けた記憶も。

制服を脱いだ記憶も。

何も覚えていない。

ただ、ベッドの上に横になって天井を見つめていた。

「……。」


静かな部屋。

時計の針だけが、カチ、カチ、と音を立てている。

目を閉じる。

すると、自然と浮かんでくる。

そのちゃんの歌声。

初めて一緒に演奏した日のこと。

海辺で照れながら笑うそのちゃん。


「奏くん、ありがとうございます。」


全部、昨日のことみたいに思い出せる。


「……っ。」


また涙が溢れてきた。

止めようとしても止まらない。