無口な君は、誰よりも綺麗だった。

すると今度は紗羅が涙を拭きながら叫ぶ。

「それは違うよ、奈々ちゃんが!」


「詩ちゃんを追い出さなかったら、もっと酷いことするって言ったからじゃん!」


奈々は面倒くさそうにため息をつく。


「あーもう、うるさいなぁ。
なんか、一気にしらけちゃった。」


そう言ってカバンを肩に掛ける。

「明日から練習しましょ、今日は帰りまーす。」


奈々は軽く手を振ると、そのまま音楽室を出て行った。

バタン――。


扉が閉まる音だけが、静かに響く。

誰も動けなかった。

俺は閉じられた扉を見つめたまま、拳を強く握り締める。

唇を噛み、震える声で呟いた。

「そのちゃん…、ごめん。好きだから……大好きだから、そのちゃんのことを守りたかっただけなのに。」

「俺たちが弱かったせいで……。」

涙が止まらない。

「ごめん……そのちゃん。」

ただ泣いて謝ることしかできない。