無口な君は、誰よりも綺麗だった。

「……っ。」

視界が滲む。

気づけば、涙が頬を伝っていた。

(ここは……。
『そのちゃんの居場所だ』って言ってくれてたのに。)


(一人ぼっちだった私が、やっと見つけた居場所だったのに。)


胸が苦しい、息ができない感覚。


私は俯いたまま、小さく声を絞り出した。


「……わかりました。」


震える声。


「今後も……応援してます。」


それだけ言うのが精一杯だった。


私は踵を返し、音楽室を飛び出す。


廊下を、ただひたすら走った。

涙で前が見えない。

それでも止まれなかった。

その時。

後ろから誰かの声が聞こえた。

「そのちゃん……っ!」

聞き慣れた、奏くんの声。

だけど私は振り返らない。

振り返ったら。

全部が崩れてしまいそうだったから。

私は涙を流したまま、走り続けた。