無口な君は、誰よりも綺麗だった。

園崎さんに袖を引かれたまま足を止めたのは、三階の空き教室だった。


ガラッ——。


静かな教室へ入ると、園崎さんはそっと俺の制服の袖から手を離した。


夕日が差し込む教室。


誰もいない空間に、静かな時間だけが流れる。


俺が何を話そうか迷っていると、園崎さんは鞄の中を探り、一枚のハンカチを取り出した。


そして、それを俺へ差し出す。


「……?」


突然のことに首を傾げる。


すると園崎さんは少しだけ視線を逸らし、小さく口を開いた。


「……泣いてるので。」


「え……?」


言われて初めて、自分の頬に触れる。


指先が、少しだけ濡れた。


(……俺、泣いてたのか。)


彼女が浮気していたこと。


バンドがうまくいかないこと。


いろんなことが重なって、自分でも気づかないうちに涙がこぼれていたらしい。