無口な君は、誰よりも綺麗だった。

私は嬉しそうに笑う。

「きっと、あの子は今日奏くんに会えるのを楽しみに来てくれたんです。」


「……。」


「それはあの子だけじゃありません、奏くんの演奏を楽しみに来ている人が、この会場にはたくさんいます。」


私は奏くんの目をまっすぐ見つめる。


「だから、いつも通り楽しみましょう。」


「……そのちゃん。」

奏くんの震えていた手が、少しずつ落ち着いていく。

「……そのちゃん、ありがとう。
俺、リーダーなのに支えられちゃった。」

奏くんは少し照れくさそうに笑う。

私は首を横に振った。

「リーダーでも……時には支え合い、でしょ?」

そう言うと、奏くんは一瞬きょとんとしたあと、ふっと優しく笑った。

「……うん。今日はそのちゃんに支えられちゃった。」

「任せてください。」

思わず二人で顔を見合わせる。

「ふふっ。」

「えへへ。」

自然と笑みがこぼれた。

もう、さっきまでの張り詰めた空気はどこにもなかった。