無口な君は、誰よりも綺麗だった。

――夏の野外フェス当日。

朝から胸が落ち着かない。

緊張しているはずなのに、それ以上にわくわくが止まらなかった。

(今日なんだ……。)

この日のために。

四人でたくさん練習してきた。

笑った日も。

悔しかった日も。

全部、このステージへ繋がっている。



出番まであと十分。

私たちは舞台袖で待機していた。

それぞれ最後の確認をする。

私はいつもの白いエレキギターを抱え、一本一本丁寧にチューニングを合わせる。

ポロン……。

優しく音を鳴らして確かめる。

紗羅ちゃんはキーボードの設定を確認し、舜くんはドラムスティックを軽く回していた。

私はペットボトルを手に取り、一口だけ水を飲む。

(……大丈夫。)

そう自分に言い聞かせながら深呼吸をした。

その時だった。

「……。」

ふと奏くんの方を見る。

いつもなら、

「よーし!楽しもう!」

と笑っているはずの奏くんが、今日は違った。

ステージの向こうを見つめたまま、目を大きく見開いている。

手も、少しだけ震えていた。