無口な君は、誰よりも綺麗だった。

誰とも話さず。

誰とも笑わず。

ただ1人で音楽を奏でていた。

でも今は違う。

奏くんがいて。

紗羅ちゃんがいて。

舜くんがいて。

みんなが隣で笑ってくれる。

「……ふふ。」

私は優しく弦を弾いた。

♪――ポロン。

静かな海へ音が溶けていく。

波の音と重なり合って、まるで海が伴奏してくれているみたいだった。

(やっぱり海、好き。)

昔から落ち込むと、海へ来ていた。

嫌なことも。

悲しいことも。

全部、波が少しずつさらってくれる気がするから。

私は目を閉じる。

そして、誰に聴かせるわけでもなく、小さく歌い始めた。

優しく。

穏やかに。

夜の海へ語りかけるように。

「♪――」

その歌声は、星空へ向かって静かに響いていく。

すると少し離れた場所から。