無口な君は、誰よりも綺麗だった。

(藍……。)


胸が締めつけられる。


だけど俺は、何も言えなかった。


見なかったことにするように、その場を通り過ぎる。


(ギターボーカルは突然辞めるし……。)


(彼女は浮気してるし……。)


(俺、何やってるんだろ。)


そんなことを考えているうちに、中庭へ着いた。


「あっ! 奏!」


紗羅が満面の笑みで手を振る。


「お、遅かったな。早く食べようぜ。」


舜もいつも通り笑って迎えてくれた。


(二人は、いつも変わらない。)


その2人の笑顔に、少しだけ救われる。


「待たせた。」


自然と笑うことができた。