無口な君は、誰よりも綺麗だった。

着替えを済ませると、私たちはグラウンドへ向かった。

広いグラウンドには、すでにたくさんの高校生が集まっている。

「それではまず、全員で軽くランニングを行います!」

先生たちの合図で、一斉に走り始める。

「よーし!頑張るぞー!」

紗羅ちゃんは最初から元気いっぱい。

「飛ばしすぎるなよー。」

舜くんが苦笑する。

「えへへっ!」

私は三人の少し後ろを、一定のペースで走る。

夏の風が髪を揺らした。

(気持ちいい……。)

走ること自体は嫌いじゃない。

景色を眺めながら走っていると、少しずつ緊張もほぐれていく。

そんな時だった。

「……詩。」

後ろから聞こえた声に、胸が小さく跳ねる。

振り返ると、少し離れた場所を元メンバーの皆が走っていた。

ばっちり目が合う。
でも私は何も言わず、前を向き直る。

(今は……。)

今はAstralのみんなと、この合宿を楽しみたい。

そう思い、私は少しだけ走るペースを上げた。

すると隣へ奏くんが並ぶ。

「そのちゃん。」


「……はい?」


「俯かなくなったね。」


「え?」


「最初会った頃は下向いてばかりだったから、前を向けるようになったなって。」


思わず足が止まりそうになる。


「少しずつだけど、そのちゃん変わった。」


その言葉に、胸がじんわりと温かくなった。