無口な君は、誰よりも綺麗だった。

「すごーい!」

紗羅ちゃんが目を輝かせる。

「あそこがフェス会場なんだ!」

奏くんも思わず見入っていた。

「想像以上だ……。」

受付の周りには、すでにたくさんの高校生バンドが集まっている。

ギターケースを背負う人。

ベースを肩に掛けている人。

楽しそうに談笑している人。

いろいろな高校の制服が行き交っていた。

(すごい……。)

私は無意識にマスクへ触れる。

少しだけ、胸がざわついた。

そんな時だった。

「……あ。」

聞き覚えのある声。

その方向へ視線を向ける。

そこに立っていたのは――

飛鳥。

羽純。

成くん。

頼くん。

中学時代、一緒にバンドを組んでいた元メンバーだった。

「……。」

向こうも私に気づいたらしい。

一瞬だけ、空気が止まる。

私は反射的に視線を逸らした。

その時。

「そのちゃん。」

右側に奏くん。

「詩ちゃん。」

左側に紗羅ちゃん。

そして少し後ろには舜くんが立っていた。

誰も何も言わない。

でも、その立ち位置だけで十分だった。

(……大丈夫。)

私はもう、一人じゃない。

そう思えた。

「行こう。」

奏くんが優しく微笑む。

「……うん。」

私は小さく頷き、Astralのみんなと一緒に受付へ向かった。