無口な君は、誰よりも綺麗だった。

その隣には紗羅ちゃんと舜くん、そして山岸先生もいる。

「おはようございます。」

「おはよー!」

「詩ちゃん見て見て!」

紗羅ちゃんは嬉しそうに大きな旅行バッグを持ち上げた。

「新しいバッグ買っちゃった!」

「可愛い……。」

思わず笑うと、紗羅ちゃんも満足そうに笑う。

「でしょー!」

「よし、全員揃ったな!」

山岸先生が人数を確認すると、私たちは貸し切りバスへ乗り込んだ。

窓際に座ると、バスはゆっくりと走り出す。

流れていく夏の景色。

青い空。

入道雲。

窓から入る温かい風が心地いい。

「楽しみだねー!」

紗羅ちゃんは終始テンションが高い。

奏くんも笑いながら頷く。

「どんな高校が来るんだろ。」

「推薦されたバンドばっかりだからな。実力のある人たちばかりなんだろうな。」

舜くんも静かに言った。

「いい刺激になりそうだ。」

私は窓の外を眺めながら、小さく息をつく。

(……大丈夫。)

きっと大丈夫。

そう自分に言い聞かせた。



数時間後。

「到着したぞー!」

山岸先生の声でバスを降りる。

目の前には、山に囲まれた大きな合宿施設。

その少し先には、大きな野外ステージまで見えていた。