無口な君は、誰よりも綺麗だった。

♪──。

夕焼けの海へ溶け込むような歌声。

柔らかくて。

どこまでも真っ直ぐで。

聴いている人の心を、そっと包み込むような声。


(……やっぱりそのちゃんの歌、いつ聴いても好きだな。)


何度聴いても。

初めて屋上で聴いた、あの日と同じように。

胸が温かくなる。

技術だけじゃない。

歌詞だけでもない。

そのちゃんが想いを込めて歌うから。

だから、心に届く。

俺はその歌を支えるように、ベースを奏で続けた。

夕日に染まる海辺には。

歌声とギター、そしてベースの音だけが、静かに響き渡っていた。


最後の一音が、波の音に溶けていく。

海辺は静かだった。

さっきまで二人で奏でていた音楽の余韻だけが、ゆっくりと残っている。


「……。」


俺はそのちゃんを見る。

そのちゃんも俺を見ていた。

目が合った瞬間、お互い自然と笑みがこぼれる。

「ふふっ。」


「えへへ。」

さっきまで泣いていたとは思えないくらい、穏やかな笑顔だった。

そのちゃんはギターを優しく抱え直し、小さく呟く。