無口な君は、誰よりも綺麗だった。

「な、なんであんな怒るのよ……。」


女の人が戸惑ったように呟く。


「詩っちが、あんなに怒るなんて……。」


飛鳥も信じられないという顔で立ち尽くしていた。


「詩が反抗してくるなんて……。」


その言葉を聞いた瞬間。

俺は確信した。


(……この人たちは。)


(そのちゃんのことを、本当に何も見てこなかったんだ。)


見ていたのは。


“完璧な園崎詩”だけ。


そのちゃんは、完璧だから頑張っていたんじゃない。


音楽が好きだから。


仲間の期待に応えたかったから。


苦しくても。


誰にも言えずに、一人で背負ってきた。


ただ、それだけなんだ。


(そのちゃんは優しい。)


きっとこの人たちにも、ずっと優しかった。


……でも。


もう違う、そのちゃんには帰る場所がある。


Astralという居場所がある。


今さら誰にも奪わせない。


俺は静かに立ち上がり、飛鳥たちを真っ直ぐ見つめた。


「そのちゃんの歌、本当に聴いたことある?」


3人が息を呑む。


「歌が上手いとか、完璧だとか。
そんな言葉だけじゃ、そのちゃんの音は語れない。」


「努力して、傷ついて、それでもまた歌いたいって立ち上がった人なんだ。」


一度息を吸って、はっきりと言う。


「そのちゃんは渡さない。
Astralにとって、そのちゃんは大切な仲間だから。」


「俺たちは、一生そのちゃんを手放さない。」


そう言い残して。

俺も店を飛び出した。

今、一番伝えたい言葉を届けるために。