無口な君は、誰よりも綺麗だった。

「……。」

胸の奥が少しだけ痛む。


でも、それは寂しいからなのか。


怖いからなのか。


自分でも分からなかった。


(……なんで、ここに座るの。)


私は視線を合わせないように。

窓の外へ目を向ける。

外を歩く人。

流れていく景色。

何でもいい。

今は。

あの頃の記憶を思い出したくなかった。

「……詩。」

名前を呼ばれる。

その声に指先が小さく震えた。

でも私は振り返らなかった。