「ギターって難しい?」
そう聞くと。
そのちゃんは首を横に振った。
「ベースが弾ける奏くんなら、すぐ弾けると思いますよ。」
「そうかな?」
少し考えて。
「じゃあ俺も触れてみようかなー。」
そう言うと。
そのちゃんは少し笑った。
「じゃあ、触れてみます?」
「え?」
そう言って。
そのちゃんは抱えていたギターを外し、俺へ渡してくる。
そして俺の後ろへ回った。
(そのちゃん、音楽スイッチ入った……。)
そう思った瞬間。
少し後ろから腕が伸びてくる。
ギターを持つ俺の手に、そのちゃんの手が重なる。
「奏くん、手の形はこうです。」
「あ……。」
指が触れる。
ただ教えてくれているだけなのに。
俺だけ心臓がうるさい。
(いや、近い……。)
音楽に集中しているそのちゃんは、全然気にしていない。
でも俺は。
この距離に耐えられなくなって。
一度、後ろを振り返った。
「そのちゃん。」
「はい?」
「……あのさ、ちょっと近くて耐えられない。」
すると。
そのちゃんは一瞬固まった。
そしてみるみる顔が赤くなる。
「あっ……。わ、わあっ!すみません!!」
慌てて離れるそのちゃん。
「違う違う!」
俺も慌てて手を振る。
「そのちゃんが悪いんじゃなくて……!」
でも。
心の中では思っていた。
……これは。
俺の方が耐えられない。



