無口な君は、誰よりも綺麗だった。

怒りとか悲しみとかそういう感情より先に。


「ああ、もう終わったんだ。」


そう思った。


「来るわけないじゃん。」


俺は苦笑いしながら答える。


「もう、とっくに別れてる。」


「えっ!?」

紗羅が目を丸くする。

「別れたの!?」


「ああ。」


「いつの間に!?」


「……2ヶ月前に。」


その言葉に。

そのちゃんの表情が少し変わった。

きっと覚えているんだ。

あの日。

屋上で。

俺が見たものを。

「浮気してたから。」

静かに告げる。

「……。」


「俺、あの日まで普通に好きだったんだけどさでもなんか、一気に冷めたんだよね。」


「怒るとか悲しいとかより。
ただ……もう無理だなって思った。」

すると。

静かに聞いていた詩が、口を開いた。


「……でも、奏くんは本当は悲しかったですよね。」


「……。」

思わずそのちゃんを見る。


「え?」


そのちゃんは少し俯きながら続けた。

「だって、あの日の奏くんは苦しそうな顔してましたから」


「……。」

覚えていた。

自分でも気づかなかった涙。

そのちゃんは見ていた。