無口な君は、誰よりも綺麗だった。

すると、そのちゃんはゆっくり立ち上がった。

「……少しだけ。」

「え?」

そう言ってギターケースを開く。

取り出したのは、いつもの白いエレキギター。

ピックを軽く口に咥え、アンプへ繋ぐ。

その仕草は。


普段の大人しくて控えめな姿とは全然違った。


まるで音楽の中に入った瞬間、別の人になるみたいだった。


そして。
静かに弦へ指を添える。


♪──。

柔らかなギターの音が、屋上に響く。


そのままそのちゃんは、小さく息を吸った。


「……。」


そして。

軽く歌い始める。

大きな声じゃない。

本気で歌っているわけでもない。

ただ、メロディーを確認するような優しい歌声。

それなのに。

「……。」

胸の奥まで届いてくる。