因縁の魔王陛下と聖女令嬢~溺愛の呪いが解けない~

 セレンはそのまま先ほどの部屋に戻された。逃亡防止のために窓はない質素な狭い部屋だが、ベッドなどの家具は一通りある。エリーゼとの人質交換まで、ここで軟禁される。
 しかしセレンは、そんな不自由さよりもアゼルの事が気になる。それに先ほどのレミアルとアーサーの純愛を見て触発されたのか、胸が落ち着かない。

(なんで、こんなにドキドキするの……カイン様の時とは違う、この感じは……何?)

 本当の愛を知らないセレンは、エリーゼのようにアゼルに愛されたいと思ってしまう。それは対抗心ではなく嫉妬だとは気付いていない。

(アゼル様は今、どちらにいるのかしら……会いに行けるかしら)

 軟禁の身で部屋の外に出られないのにセレンはドアの前に立つ。レバーハンドルを握ろうとするとドアが開いて、外からドアを開けた人物と真正面から目が合う。意外にも鍵はかかっていなかったらしい。
 そこに立っていたのはメイド服を着た女性。ブラウンのショートボブに同色の優しい瞳。そのメイドが誰かを頭で認識した瞬間にセレンは叫ぶ。

「レミアル!?」

 レミアルは照れ臭そうに上目遣いで微笑みながら一礼をする。

「はい。今日からメイドとして働く事になりました。レミアルです」

 確かにレミアル将軍はウィリアム国ではメイド長でもあったが、着ていたのは白い甲冑か黒いスーツばかり。黒いワンピースに白いエプロンという、女性らしいメイド服姿を見るのは初めてだった。
 セレンの口から思わず感嘆の声が漏れ出る。

「レミアル……あなた……可愛い……」

 スリムでありながら憧れるほどに実ったバスト、程よく鍛えられた細く長い足。生まれ持ったスタイルの良さと柔らかく優しい顔立ちは、セレンすら見惚れてしまうくらいに魅力的だった。
 これなら確実に堅物のアーサーでも落とせる……セレンが期待を込めて、そう強く思ってしまうほどに。