きみが光るたび、淡くなる

「今日は疲れてるだろうし重要な話はやめておこうか。ご飯作るから部屋でお風呂入ってきて」
「えっ、ご飯作ってるくれるの?」
驚いたように月葵が言うので、思わず私も自問自答してしまう。
もしかしてこれって、プロデューサーの仕事じゃない・・・?と。
あぁ、うん、絶対違うよな。仕事の範疇を超えている。
でも、まぁ・・・別にいいか。
『姉』って言ってくれてるんだし・・・。
「ご飯はこっちでいつも用意する。そっちはデビューすることに全力を注いで」
「うーやん・・・ありがとう!」
5人が立ちあがり、部屋を出て行く前にこたが抱き着きながらお礼を言ってきた。
もう17歳のはずだけど・・・相当甘えん坊なんだろうか。
今は高校3年生らしいから・・・思春期ないのか・・・?
思わず首をかしげると、察した冬貴が苦笑いしながら教えてくれる。
「こたは前からずっと姉ちゃんが欲しいって言っててさ。親が共働きで甘えたことないからって」
「・・・そっか」
きっと、こんな私でも親に甘えたことがあるだろう。
それなのに、甘えたことがないこたが、こんなに素直で無邪気な子になるなんて、奇跡みたいなことだ。
「・・・こた」
ドアの近くで照れくさそうに冬貴の話を聞いていたこたに呼びかけると、
「・・・なぁに?うーやん」
少しはにかんだこたがゆっくりと歩いてきた。
すぐ近くまで来たその肩を軽く抱き、頭を撫でる。
なぜ、と訊かれたらよく分からないが、無性に撫でてあげたくなってしまった。
「・・・ん、ありがと」
猫のように目を細めて笑うこたの肩がら手を外すと、4人が微笑ましそうにこたを見つめていた。
「よかったな、こった。2つの夢が1つ叶った。もう1つも叶えられそうだ」
絹がそう言うと、こたが嬉しそうに頷く。
それを見てまたメンバーが笑うので、こたがどれだけ愛されているのかを感じた。
このグループなら、夢はそう遠くない未来で現実になるのかもしれない。
「さっ風呂に入ってきて。明日はダンスレッスンがある」
「えっダンサー?ありがとう、うっさん」
逢が驚いたようにそう言い、一番に部屋を出て行く。
「ご飯食べに戻ってくるんだから、ほら!早く出てく!」
他のメンバーは何故か名残惜しそうに行きたがらないので、一番後ろにいた月葵の背中を軽く押した。
すると案外すぐに部屋を出て行ってくれ、私は1人残った部屋で息をつく。
正直、気を配った食生活をさせるべきではあると思う。
ただ、料理も栄養学もあんまり・・・わからないというか。
ファストフードを食べさせ過ぎないようにすればいいのか・・・?
今日はとりあえず家から持ってきたもので何か作るけど。
しかし、食材を見ても何も料理が思いつかない。
普段から料理をしないからな・・・。
迷わず、冷蔵庫にある食材をすべて入力して、AIに聞くことにした。
「肉じゃが・・・と、鮭のバジル焼き・・・?」
なんかバジル焼きは家で食べたことがある気がする。
「・・・つくってみる、か」
正直自信はないけど、出来ないことはないだろう。

・・・そう、思ってしまったのが間違いだったんだろう、か。