きみが光るたび、淡くなる

「ってかさ、なんでうーやんっていつもマスクしてるの?」
「ん?・・・喉が弱いからだ。というか私はいろいろと弱い部分が多くてな」
病気とかではないが、人よりもケアをしないと酷いことになる時だってある。
「ピアスは開けてないけど、イヤリングをすると耳が痛くなる。目はドライアイだし、唇は寝る前に保湿リップを塗らないとカサカサになる。日焼けすると肌はボロボロになるし、毎日大変だよ」
「それは大変だね。たしかに日焼け止めについて詳しいよね」
色んな日焼け止めを試して、一番効果があるものをいつも使っているからな。
「可愛い顔がよく見えなくてちょっと残念だけどね」
こたに乗っかって月葵もそんなことを言いだしたので、思わず呆れてしまった。
内緒にする、という約束を忘れたのか、と。
それかよっぽどのスリラーなのか。

「あっ、そうだ。さっきから訊こうと思ってたんだ」
いきなり、冬貴が話題を変える。
誰に対する言葉かは言われなかったが、冬貴と目が合うので、おそらく私だろう。
しばらくは事務所がOFFにしてくれているが、なにか言いたいことでもあるのか?

「うーちゃんとつっちゃん、付き合ったの?」

「・・・は??」
思わず赤くなることも青くなることもせず、ただただ疑問で返してしまった。
なんで分かった、とか。
なんでメンバーの前で言うんだ、とか。
ここで頷いたらどうなるんだ、とか。
下手に隠すよりかは言ってしまったようないいんじゃないか、とか。
色んな思考が頭の中にグルグルと巡って、とっさになにも返せない。

「あ、そうなんだよ。昨日ね」

「月葵・・・⁉」
なぜ言うんだ。隠すと約束したばかりじゃないか。
メンバーには言うって言ってたか?いや、ちゃんと『メンバーにも光さんにも内緒にするから!』と言っていたよな?
翌日に約束を破るのはどうなんだ?
「なぁんだ、やっと付き合ったのかよ」
「遅かったねぇ、もう5年半・・・もう6年?かかってるじゃん」
・・・あれ?なんでそんなに納得してるんだ?
「雨瑠ちゃん、こいつらが気づいてないとでも思った?最初から気づいてたよ」
「そ、そうなら言ってくれればいいじゃないか・・・!なんで隠すなんて約束したんだ・・・!」
「そっちのほうがOKしてくれるかなって?」
その策士が・・・!と思わず叫びたくなってしまうのを頑張って抑える。
「でもよかったじゃん、付き合えて。こっちからしたら焦れったいったらありゃしない」
呆れたようなリーダー冬貴の言葉には、月葵も苦笑を返していた。

「と、とにかく!公私は分けるし、仕事中はただのアイドルとプロデューサーだ。贔屓もしないし、いつも通り接する。それは崩さない」
信用問題になってくるので、一応そう宣言すると、メンバー4人が笑顔でうなずいた。

その中で唯一、笑っておらず硬い表情を崩さない絹が、気がかりではあった。