それは、クインテラ王国の歴史に永久に刻まれる、最も美しく、最も輝かしい一日だった。
数年の復興期間を経て、王都はかつてない活気と笑顔に満ち溢れていた。
この日、崩壊した旧後宮の跡地に完成した広大な「王立中央庭園」にて、一人の女性が正真正銘の【唯一の正妻】として迎えられる、世紀の戴冠・婚礼儀式が執り行われようとしていた。
かつてドロドロの愛憎劇が繰り広げられ、陰謀と怨嗟の毒煙が渦巻いていたあの忌まわしき後宮は、今や跡形もない。
壁は取り払われ、世界中の美しい花々が咲き誇り、身分を問わず誰もが憩うことのできる、光に満ちた平穏の楽園へと生まれ変わっていた。
「──お待たせいたしました、エレナ王妃殿下」
純白の気高くも美しいウェディングドレスを纏ったエレナの前に、3人の懐かしい顔ぶれが並んでいた。
「まったく、世界一綺麗な花嫁さんだよ。平民の少女がここまで登り詰めるとはね!」
近衛騎士団の正装でビシッと決めたブリジェットが、我が事のように胸を張る。
「本日の王宮の警備は完璧ですわ。何せ、我が商会が国中から集めた最高峰の警備魔導具を惜しみなく寄贈いたしましたからね!」
フィオナが豪華な扇を広げて大らかに笑う。
「ふふ、私の情報部も、ネズミ一匹不審な動きはさせないわ。エレナ、本当におめでとう」
カタリナが優しく微笑み、エレナの手をそっと握りしめた。
かつては命を奪い合った敵であり、過酷なサバイバルを共に生き抜いた、生涯の友。
彼女たちの祝福を受け、エレナの瞳に幸せな涙がにじむ。
「みんな……本当にありがとう。私、みんなに出会えて、本当に良かった」
ファンファーレの鐘が鳴り響き、大広場の扉が開け放たれる。
割れんばかりの民衆の歓声と、鳴り止まない拍手の中、エレナはゆっくりとバージンロードを歩み進んだ。
その先で待っていたのは、かつて悪法に縛られ、孤独に誰も信じられぬ王として凍てついていた男――国王・レオンハルトだった。
今日の彼の顔には、かつての冷徹な仮面はどこにもない。
最愛の女性を迎え入れる、一人の男としての深い愛と慈愛に満ちた表情を浮かべていた。
レオンハルトはエレナの手を取り、引き寄せるように強く抱きしめると、耳元で優しく囁いた。
「よくここまで付いてきてくれた、エレナ。……私の生涯の唯一の愛、我が王妃よ」
「はい、レオンハルト様。私、貴方と共に、この新しい国をどこまでも歩んでいきます」
二人が誓いの口づけを交わした瞬間、庭園を埋め尽くした国民から、地を揺るがすような祝福の歓声が巻き起こった。
「父上! 母上!」
そこへ、立派な正装に身を包んだ王太子アルフレッドが、目を輝かせて駆け寄ってきた。
レオンハルトはその小さな我が子を片腕で抱き上げ、もう片方の腕でエレナの腰を優しく引き寄せた。
「見てごらん、エレナ、アルフレッド。私たちの新しい国だ」
レオンハルトが指さす先。
そこには、過去の歪んだ法律も、血統の呪いも、女たちを縛る檻も、すべてが綺麗に消え去った。
どこまでもどこまでも広く、どこまでも澄み渡った【クインテラ王国の青空】が広がっていた。
かつて、我が子を守るために「魔女」と呼ばれても、泥水をすすりながら後宮のサバイバルを生き抜いた一人の平民の少女。
彼女がその知略と、母としての狂おしいほどの愛、そして仲間との絆で掴み取った結末は──これ以上ない光に満ちた、最高のハッピーエンドだった。
見上げる3人の笑顔を祝福するように、柔らかな風が、新時代の美しい庭園をどこまでも優しく吹き抜けていった。
続く!
数年の復興期間を経て、王都はかつてない活気と笑顔に満ち溢れていた。
この日、崩壊した旧後宮の跡地に完成した広大な「王立中央庭園」にて、一人の女性が正真正銘の【唯一の正妻】として迎えられる、世紀の戴冠・婚礼儀式が執り行われようとしていた。
かつてドロドロの愛憎劇が繰り広げられ、陰謀と怨嗟の毒煙が渦巻いていたあの忌まわしき後宮は、今や跡形もない。
壁は取り払われ、世界中の美しい花々が咲き誇り、身分を問わず誰もが憩うことのできる、光に満ちた平穏の楽園へと生まれ変わっていた。
「──お待たせいたしました、エレナ王妃殿下」
純白の気高くも美しいウェディングドレスを纏ったエレナの前に、3人の懐かしい顔ぶれが並んでいた。
「まったく、世界一綺麗な花嫁さんだよ。平民の少女がここまで登り詰めるとはね!」
近衛騎士団の正装でビシッと決めたブリジェットが、我が事のように胸を張る。
「本日の王宮の警備は完璧ですわ。何せ、我が商会が国中から集めた最高峰の警備魔導具を惜しみなく寄贈いたしましたからね!」
フィオナが豪華な扇を広げて大らかに笑う。
「ふふ、私の情報部も、ネズミ一匹不審な動きはさせないわ。エレナ、本当におめでとう」
カタリナが優しく微笑み、エレナの手をそっと握りしめた。
かつては命を奪い合った敵であり、過酷なサバイバルを共に生き抜いた、生涯の友。
彼女たちの祝福を受け、エレナの瞳に幸せな涙がにじむ。
「みんな……本当にありがとう。私、みんなに出会えて、本当に良かった」
ファンファーレの鐘が鳴り響き、大広場の扉が開け放たれる。
割れんばかりの民衆の歓声と、鳴り止まない拍手の中、エレナはゆっくりとバージンロードを歩み進んだ。
その先で待っていたのは、かつて悪法に縛られ、孤独に誰も信じられぬ王として凍てついていた男――国王・レオンハルトだった。
今日の彼の顔には、かつての冷徹な仮面はどこにもない。
最愛の女性を迎え入れる、一人の男としての深い愛と慈愛に満ちた表情を浮かべていた。
レオンハルトはエレナの手を取り、引き寄せるように強く抱きしめると、耳元で優しく囁いた。
「よくここまで付いてきてくれた、エレナ。……私の生涯の唯一の愛、我が王妃よ」
「はい、レオンハルト様。私、貴方と共に、この新しい国をどこまでも歩んでいきます」
二人が誓いの口づけを交わした瞬間、庭園を埋め尽くした国民から、地を揺るがすような祝福の歓声が巻き起こった。
「父上! 母上!」
そこへ、立派な正装に身を包んだ王太子アルフレッドが、目を輝かせて駆け寄ってきた。
レオンハルトはその小さな我が子を片腕で抱き上げ、もう片方の腕でエレナの腰を優しく引き寄せた。
「見てごらん、エレナ、アルフレッド。私たちの新しい国だ」
レオンハルトが指さす先。
そこには、過去の歪んだ法律も、血統の呪いも、女たちを縛る檻も、すべてが綺麗に消え去った。
どこまでもどこまでも広く、どこまでも澄み渡った【クインテラ王国の青空】が広がっていた。
かつて、我が子を守るために「魔女」と呼ばれても、泥水をすすりながら後宮のサバイバルを生き抜いた一人の平民の少女。
彼女がその知略と、母としての狂おしいほどの愛、そして仲間との絆で掴み取った結末は──これ以上ない光に満ちた、最高のハッピーエンドだった。
見上げる3人の笑顔を祝福するように、柔らかな風が、新時代の美しい庭園をどこまでも優しく吹き抜けていった。
続く!



