スミレに男装してアイドルをやれ、と言われてから2時間。
「ス、スミレさん。今、どこに向かっていますか?」
荷物をまとめて、新幹線に乗せられていた。
私の予想では、今乗ったのは上越新幹線の駅だったから、東京に行くのだろう。
私が今まで居たのは新潟の田舎の方。
家から出ることは禁止されているから、外は初めてなのだ。
もちろん、新幹線に乗るのも初めてで。
「東京よ。あ、これスマホね。」
スミレはこちらを一切見ずにスマホを渡してくる。
「ありがとうございます。」
…………スマホか。
私は芸能界一筋にさせられているから、スマホも初めてで。
画面をタップすると、時間が出てきた。
スワイプすると暗証番号が出てくる。
………あれ、フェイス登録じゃないの?
最初からスミレが設定していたらしく。
私、パスワード知らないんだけど。
「スミレさん。このスマホのパスワード、何ですか?」
私が聞くと、スミレは10秒くらい考えて、言った。
「えーっと、100、かしら。」
覚えておいてください。
「ひ、100、ですね。ありがとうございます。」
いや、これ4桁なんですけど。
とりあえず、1000とか0100とか100が入っている数字をいろいろ入れてみると、すんなり開いた。
私は迷わず設定を開く。
…………やっぱり。
GPSにペアレンタルコントロールなど、監視ばっかりだった。
勝手にアプリ入れられないし。
…まぁ、アプリなんて、トーク以外、大抵使わないと思うけど。

