「お、おはようございます!」
流れる音楽を背に、スミレに元気よく挨拶する。
「………今日、ダンスの時間を4時間増やすわ。寝る時間は無くてもいいもの。」
「……は、はい。ありがとうございます。」
………最悪。
「さ、始めるわよ。準備して。」
パン、パン、と手を叩いたスミレ。
「はい。」
位置について曲を流す。
ダンスと歌の練習は、全部ではないけれどスミレがついてくる。
まず、1回で動画を見て振りを入れる。
そこでスミレが来る。
スミレの練習スタイルは、最初に曲を全部通してから微調整。
毎日曲が変わるから、覚えたとしても次の日は最初から。
『IGNITE』を全部通して、最後の振りを終えた時。
「今日はダメね。最悪だわ。」
「申し訳ございません。」
「あなたの実力不足よ。今日はご飯はいいから休み無しで。」
「はい。」
ここから微調整が始まる。
いや、微調整というか、今日は調子悪いからひたすら踊らされたんだけど。
「IGNITEを通し20回。エイトずつ振りを30回づつね。これを、そうね。6セット……いや、7セットにしましょう。では。」
そう、残して去っていくスミレ。
………ありえない。
そんな体力持つわけない。
こんな無茶振り、大体毎日。
丸出しの、隠そうともしていない黒い監視カメラに睨もうとしたが、やめた。
スミレに見つかったら、殴られるだけではすまない。
曲を通そうとして、曲を流したが。
ジーーーーー。ジーーーーー。
そんな音で曲が聞こえにくい。
「……耳鳴りだ。」
私は小さく呟く。
このような耳鳴りは週一程度でなる。
ジーーーーー。ジーーーーー。
今日は耳鳴りが大きいな。

