朝、5時。
「おはようございます、スミレさん。朝ごはん、出来てますよ。」
「…おはよう、日凪。」
私・綾瀬日凪は、ニコリと微笑んで言う。
目の前にいる、綾瀬スミレは自分の食卓の定位置についた。
…ここまでは、普通の家族だと思うだろう。
実は綾瀬スミレは親ではなく、私の両親がいなくなってから育ててくれているのだ。
でも、綾瀬家は、ここからが変だ。
「日凪。今日は20点ね。」
「……はい。すみません。以後気をつけます。」
綾瀬家では、どんな時も「笑顔」でいなくてはいけない。
辛い時も、痛い時も、どんな時でも。
毎朝、「笑顔」を100点満点でチェックされる。
ちなみに、今までの最高得点は41点。
少ないでしょ。
スミレは厳しいんだ。
スミレと黙々、朝ごはんを食べる。
ごはんは毎日自分で作る。
5時に朝ごはんだから、4時に起きないと作れない。
しかも、かなりの種類を作らないといけないから。
今日のメニューは、洋食だ。
食パンにクロワッサン、ベーコンにスクランブルエッグをのっける。
ウインナーと、ハッシュドポテト。
サラダにコンポタージュ、デザートは甘めのフルーツヨーグルトだ。
朝食は、そこまで大変ではないんだけどね。
「ご馳走様です。」
「ご馳走様。」
食べ終わり、スミレの分も一緒に食器を洗う。
ちらっと時間を見る。
…5時25分っ!?
ゆっくりしすぎた!
綾瀬家には食洗機がないから、しっかり洗わないといけない。
急いで歯ブラシを取ってきて、歯を磨きながら食器を洗っていく。
急がないと。
食器を洗い終わり、しっかり歯を磨く。
水ですすぎ、いつものポニーテールに結って、リビングに勉強道具を持っていく。
よかった。佐伯さんはまだだ。

