理子さんは芸能界で有名な美容師らしい。
自分の店を持っているだけではなく、メイクアップアーティストをやっていたり、自分のファッションブランドまで持っていたりするらしい。
まぁそんな感じの仕事をしてるってことはファッションセンスや髪の手入れが凝ってるからわかったけどね。
「日凪ちゃんは髪の毛伸ばしっぱなしなの?」
不意に理子さんに話しかけられて、背筋を伸ばす。
「あー、小さい頃に切ったきり、伸ばしたままです。」
私の髪は腰を越えるくらいの長さ。
小さい頃は前髪もあったけれど、そこから切れてないからずいぶん伸びて、もう前髪はない。
「ふうん。そうなんだ。じゃあ、前髪作ってみる?」
………前髪?
「日凪ちゃんさ、前髪作ったらもう、ぜっっっっっったいかわいいわ。ね、作ってみましょうよ。もう、今の状態で顔面最強芸能界トップレベルなんだからさ、ヘアアレンジしたらもうね、あたしがキュン死しちゃうわ!私のためにも前髪作って!いいでしょ?スミレちゃん!!」
いきなりの熱弁に私は気圧される。
「………男装ができればなんでもいいわ。理子に任せる。」
「よっしゃー!!」
運転中なのに思いっきりガッツポーズをする理子さん。
……前髪を作ってもらうの私なのに、毎回スミレに許可とってるの、なぜ?
「はーい、つきましたよー!さ、降りて降りて!あたしは今、絶好調なのよ!」

