スミレのあとを追って駅から出て行く。
…………なに、このビル。
明らかに100m以上ある建物。
思わず凝視してしまう。
「…ねぇ、日凪?」
……あ、やばい。
「は、はい。スミレさん。」
ニコニコと最近ずっと崩していない笑顔を浮かべる。
「日凪、そういうリアクションは今はいらないの。面倒くさいわ。」
「すみません。気をつけます。」
「リアクションはテレビだけでいいの。」
そう言って、スミレは私を置いてスタスタと歩き出す。
いや、ちょっと待ってよ。私ここの土地勘ないんだってば!
急いでスーツケースを持ってスミレのところまで走る。
……スミレって速いんだよ、歩くの。
時速6.5kmくらいだからね。
普通の人は走らないと追いつけないから。
なんか、大きい道路に出たとき、スミレが止まった。
私も追いついて、目の前にある車を見る。
スミレは躊躇なくその車に乗る。
………え、これ乗っていいの?
ベンツだよ?ベンツ。
タクシー的な感じ?
まぁ、スミレなら頼みそうだけど。
そろおっと音を立てずに乗りこむ。
「あ、この子が日凪ちゃん!?」
いきなり運転席から明るい声がかかる。

