死神の旦那様は、花嫁菓子しか食べられない




 整った顔立ち。だが血の気はなく、生気を削ぎ落とされたように見えた。
 鷹宮が告げた。

「御神影家当主、朔夜(さくや)様にございます」

(この方が朔夜様……)

 その言葉を合図にしたかのように、伏せられていた瞳がゆっくりと開く。
 視線が小春を捉えた瞬間、胸の奥がざわりと騒いだ。

(──目が、人じゃない)

 白目までもが黒に染まっている。
 底の見えない闇だった。
 人ならざるものを覗き込んだような感覚に、小春は息を飲んだ。

「帰れ」

 彼が発した声は低かった。そこに感情を感じない。


「ここにいれば、死ぬ」