花に溺れ、香りに溶ける




「美寿さん。突然だけれど、ここで一つ、組香を披露していただけないかしら? それと、茶道も華道もできるのでしょう?」

「ここで香席をするということでしょうか?」

「えぇ、そうよ。今からではないわ。明日、準備されたこの香木を使って、即興で構いません。……佐山流の三道を極めているあなたが、本当にその名に恥じない技量を持っているのか、この目で確かめたいの」


 百合乃さまの瞳には、有無を言わさぬ厳しさが宿っていた。


「母さん、それは急すぎます。美寿は今日、招待客としてここに――」

「碧斗。あなたは黙っていなさい」


 碧斗さまの言葉を、百合乃さまはぴしゃりと遮った。