花に溺れ、香りに溶ける






「これから先も、碧斗さまが背負っているものを、少しでも分かち合えたら嬉しいです。……私にできることがあれば、なんでも言ってください」

「なんでも、か」


 碧斗さまは、ふっと目を細めると、少し悪戯っぽい表情を浮かべた。


「じゃあ、これからもずっと、僕の前でだけその顔を見せて。それだけでいい」


 彼は、そう言いながら、私の手をゆっくりと自分の口元へと引き寄せた。指先に、柔らかく唇が触れる。


「……そういう不意打ち、ほんとに心臓に悪いです」

「美寿にだけ、してるんだよ。……誰にも見せたことのない顔も、誰にもしないことも、全部、美寿だけのものにしたい」


 夕暮れの光が、彼の瞳を金色に染めていた。その瞳の奥に、隠しきれない独占欲が、確かに揺れているのが見えた。

 けれど――その安堵も、長くは続かなかった。