花に溺れ、香りに溶ける




「美寿さん、この作品のテーマ、分かる?」

「テーマ、ですか」

「うん。碧斗くんの作品って、いつも一見しただけじゃ分からない意匠が隠れてるの。私も昔、散々教わったから知ってるんだけど」


 私は改めて、松と白椿の組み合わせを見つめ直した。力強い松の枝ぶりの中に、寄り添うように咲く一輪の白椿。

 その配置には、確かに何か意図的な物語性が感じられる。


「……冬の厳しさの中で、大切なものを守り抜くイメージでしょうか?」


 碧斗さまが、目を見開いて私を見た。その隣にいる千夏さんも驚いている。


「――当たり」

「本当ですか?」

「うん。誰も分からなかったのに、美寿は一発で言い当てるなんて」


 千夏さんが、感心したように手をパチパチ叩く。