翌朝、私はいつもより早く目が覚めた。カーテンの隙間から差し込む朝の光が、畳の上に細い線を描いている。
身支度を整えて階段を降りると、台所から母が朝食の支度をする音が聞こえてきた。廊下の窓辺には、昨日は無かった花が生けられていた。
「お母さま、廊下の花って」
「あぁ、それ。さっき、碧斗くんが来てね。お花を持ってきてくれて生けてくれたのよ」
「え? 呼んでくれれば良かったのに」
「私も呼びに行こうと思ったんだけど、碧斗くんが起こすのは申し訳ないからって言って帰っちゃったから」
碧斗さまらしいけど、お礼言いたかったなぁなんて思う。こういうことをさらっとしてしまう人だから。
「碧斗くんにお礼を言っておいてくれる? 素敵なお花だったから」
「うん。お写真撮って、LINEを送ってみる」
それだけ言うと、私はまた廊下に出て写真を撮った。確かこれは、ブルースターとかすみ草、そして中心には濃いピンクの胡蝶蘭だ。そして江戸切子で作られたもので六角籠目と麻の葉が流れるように施されている藤色の花器だ。



