花に溺れ、香りに溶ける





 スマートフォンが震えて、画面を見ると碧斗さまからのメッセージだった。


【こんばんわ、今日はごめん】


 珍しく素直な謝罪の言葉に少し驚いてしまった。


【大丈夫です。でも、次はもう少し手加減してください】


 そう送信すると、すぐに既読がついて、返信が来る。


【善処する。でも、美寿が僕を意識してくれるなら、それでいいとも思ってるよ】


 その一文に、また心臓が跳ねた。

 少し迷ってから、私は思い切って打ち込んでみた。


【前から聞きたかったんですけど、私たちの婚約って碧斗さまの方から望んでくれたって本当ですか?】


 意を決して送ると、既読がついた。だけど既読がついたまま返信は来ない。いつもなら返信がすぐ来るはずなのに……その後もしばらく返信が来なかった。だけどようやく画面に通知が来る。


【それは誰に聞いたの?】


 その一言だけで、母の話が本当だったのだと確信してしまった。


【母から聞きました。母は恋バナとか好きで、父は何も教えてはくれなかったですよ】

【そう。今度、ちゃんと話す。今日はもう休んで】


 そのメッセージを最後に彼からのメッセージは来なくなってしまった。