春のその先で、君と。



三人で少し会話をしたあと、湊くんともう一度「またね」と言って別れた。


湊くんの背中が見えなくなるまで見送ってから、私は家の中へ入った。


すると、お母さんが驚いたような顔で私の前までやってきた。



「りのん! なんであんなかっこいい男の子がいること、隠してたの!」



「えっ……」



怒っているわけではない。


ただ、驚いているのが伝わってくる。



「ごめんね。隠してたわけじゃないんだけど……」



そう言いながら、私は少し顔が熱くなった。


そんな私を見て、お母さんはにやっと笑う。



「恋するりのん、かわいい〜」



「やめてよ、お母さん……」



恥ずかしくなって顔を伏せる。



「だから、これから一緒に勉強するから、夜この時間になっちゃう……かもです」



「そんなのいいのよ!」



お母さんは笑いながら言った。



「お母さんも、今度ちゃんと挨拶させてね」



「うん……!」



お母さんの優しさが伝わってきて、嬉しくなった。


湊くんのさっきの対応を見て、私はまだ知らなかった湊くんを知れたような気がした。


でも、不思議だった。


ひとつ知ると、もっと知りたくなる。


湊くんのことを、もっと。


そんなことを考えながら、私は自分の部屋へ戻った。