春のその先で、君と。




「あの……。」



「うん。」



「よかったら……一緒に帰りたいなって思って。」



言えた。


言えたけど。


恥ずかしくて、湊くんの顔をまともに見られない。



「……。」



返事がない。


やっぱり変だったかな。


そう思って顔を上げると。


湊くんは、少し驚いたような顔をしていた。



「……りのん。」



「……うん。」



「言ってくれて、ほんとに嬉しい。」



「え……?」



湊くんが、ふっと笑う。



「言ってくれると思わなかった。」



「……。」



「俺、すごい嬉しい。」



その言葉に、胸がいっぱいになる。



「……ほんと?」



「うん。」



湊くんが少しだけ照れたように笑った。



「頑張って言ってくれてる顔、可愛すぎたし。」



「……えっ。」



一気に顔が熱くなる。



「み、見てたの……?」



「うん。」



「……恥ずかしい。」



思わず顔を隠す。



すると。



「でも。」



湊くんの声が、少しだけ優しくなる。



「勇気出して言ってくれて、ありがとう。」



その言葉に。



胸の奥が、じんわりあたたかくなった。



「……うん。」



小さく頷く。



「私も……ありがとう。」



「なんで?」



「嬉しいって言ってくれたから。」



「そっか。」



湊くんが笑う。



「じゃあ、放課後一緒に帰ろう。」



「……うん!」



今度はちゃんと顔を上げて笑えた。