春のその先で、君と。




「いこう? りのん!」



私は小さく頷いた。



「……うん。」



そのとき。



「……あ。」



陽菜が湊くんを見る。



「ほら、こっち見てる。」



「え?」



恐る恐る顔を上げる。


教室の中。


湊くんが、こちらを見ていた。


目が合う。


一瞬。


時間が止まったような気がした。



「……。」



「ほら。」



陽菜が私の背中をそっと押す。



「行っておいで。」



「ひな……。」



「大丈夫。」



陽菜が優しく笑う。



「りのんならできるよ。」



私はもう一度、深呼吸をした。


そして。


ゆっくりと、教室の中へ足を踏み入れた。