ピコン。
スマホが小さく震える。
画面を見ると、見慣れた名前が表示されていた。
『りのんー! おはよー!☀️』
『新学期だね!!』
『今日もいつものところで待ち合わせね!』
『朝は柏木くんに渡さないから!!😤』
思わず笑ってしまう。
鈴野陽菜。
私の親友で、私のヒーロー。
どんな時も笑顔で隣にいてくれて、何度も手を差し伸べてくれた、大切な存在。
「……ふふっ」
思わず頬が緩む。
柏木湊。
私の恋人。
クールで、少し不器用。
でも、誰よりも優しくて、いつも私のことを大切に想ってくれる人。
ひなの言う通り、朝は湊くんと一緒に登校したい気持ちもある。
だけど。
ひなと笑い合う朝の時間も、私にとっては大切な宝物だ。
スマホをバッグにしまい、私は家を出た。
春風が髪を揺らし、桜の花びらが一枚、足元へ舞い落ちた。
今日から高校三年生。
私たちの最後の一年が始まる。

