春のその先で、君と。




「だからね、柏木くん!」



「ん?」




「りのんのこと、ちゃんと大事にしてよね!」



「……わかってるって。」



「だって恋人なんだから!」



二人の会話が、少し離れたところからかすかに聞こえてくる。



私は思わず笑ってしまった。



陽菜は、本当に変わらないな。



そんなことを思っていると、



「りのん!」



突然、陽菜がこちらを振り返った。



「ん?」



「お昼はひなとだからね!!!」



「えぇ?」



「柏木くんにはあげないよ!」



「いや、別に俺は……」



湊くんが困ったように笑う。



「ひな、もう……。」



「だって!」



陽菜が私のところまで駆け寄ってくる。



「言ったでしょ? 柏木くんに渡さないって!」



「お昼まで……?」



「もちろん!」



そう言って、陽菜は私の腕にぎゅっと抱きついた。



「高校三年生になっても、りのんは私の親友なんだから!」



「ふふっ。」



思わず笑ってしまう。



「うん。私もひなとお昼食べたい。」



「やったぁ!」



陽菜が嬉しそうに笑う。