少し歩いたところで、湊くんが口を開く。
「さっき、ため息ついてたでしょ。」
「……え?」
「不安なこと、あった?」
私は少しだけ黙った。
「進路とか……?」
湊くんの言葉に、私は小さく頷く。
「うん……進路もそうだけど。」
窓の外に目を向ける。
春の風に、桜の花びらが揺れていた。
「来年の今頃は……私たち、離れ離れなのかなって。」
口にした瞬間、胸の奥がきゅっと苦しくなる。
大学。
進路。
それぞれが違う道を選べば、今みたいに毎日会えるとは限らない。
「……やっぱり。」
「え?」
湊くんが、少しだけ笑った。
「りのんなら、そうだと思った。」
「……分かってたの?」
「うん。」
「なんで?」
「朝からずっと、少しだけ元気なかったから。」
そう言って、湊くんは私を見る。
「りのん、考えすぎるところあるから。」
「……もう。」
思わず頬を膨らませる。
でも、その言葉が少しだけ嬉しかった。

