「まずは進路についてだが……」
先生の言葉を聞きながら、私は窓の外へ視線を向ける。
桜の花びらが、春風に乗って舞っている。
綺麗だな。
ぼんやりと眺めていた、そのとき。
「りのん」
前から、小さな声が聞こえた。
顔を上げると、湊くんがこちらを振り返っていた。
「……なに?」
「後で話したい」
「うん」
それだけ。
それだけなのに、心が少しだけ弾んだ。
今年も、湊くんがいる。
陽菜もいる。
だから。
この一年を、ちゃんと大切にしたい。
笑って。
泣いて。
時には悩んで。
そんな毎日を、みんなと一緒に過ごしたい。
そう思った。
高校三年生。
私たちの、最後の春が始まった。

