「次、水瀬。」
「は、はい。」
私は少し緊張しながら箱の中から一枚の紙を引く。
『B列 三番』
教室の真ん中あたりの席。
(ここか……。)
荷物を置いてほっとしていると、
「次、柏木。」
思わず視線を向ける。
湊はいつもの落ち着いた様子で前へ行き、くじを引いた。
先生が席を確認する。
「柏木は……A列 二番。」
私は思わず教室の席を見渡した。
(……斜め前。)
ほんの少し距離はある。
でも、手を伸ばせば届きそうなくらい近い。
その時、席へ向かう湊が私に気づき、小さく笑った。
「近いな。」
その一言だけで、胸が少しだけ高鳴る。
「……うん。」
照れながら頷く私を見て、湊は満足そうに自分の席へ向かった。
「りのーん!」
後ろから陽菜が声をかける。
「私ね、B列四番!」
「えっ、本当!?」
「後ろだよ!」
振り返ると、陽菜が満面の笑みで手を振っていた。
「やったぁ!」
湊くんは斜め前。
陽奈はすぐ後ろ。
この席なら、きっと毎日が楽しくなる。

