春のその先で、君と。





気づけば、周りの木々には少しずつ紅葉が見え始めていた。


夏の暑さもいつの間にか落ち着いて、朝晩には少し肌寒さを感じるようになった。


季節が変わるのは、あっという間だった。


りのんと付き合って、半年近く。


あの三ヶ月記念日からも、もう三ヶ月が経とうとしている。


学校ではいつも通り、りのんと話して、笑って。


そんな毎日を過ごしていた。


だけど。


俺の中には、あの日からずっと、ひとつだけ引っかかっていることがあった。


母さんのこと。


りのんの家で、あたたかい食卓を囲んだあの日。



「こちらこそ、りのんと仲良くしてくれてありがとう」



そう言ってくれた、りのんのお母さんの笑顔。


あの日から、ときどき考えてしまう。
  

俺はいつから、母さんと一緒にご飯を食べなくなったんだろう。


そして。


このまま、知らないふりをしていていいのかな。