春のその先で、君と。




「ごちそうさまでした」



「お粗末さまでした。湊くん、今日は食べていってくれてありがとう」



「いえ、こちらこそ。すごくおいしかったです」



本当においしかった。


それに、りのんとお母さんが楽しそうに話しているのを見ている時間も、なんだか心地よかった。


食器を片付け終えると、俺は鞄を持って立ち上がる。



「じゃあ、そろそろ帰ります」



「そう? じゃあ、りのん。湊くんのこと途中まで送ってきたら?」



「うん」



「りのん、危ないから大丈夫だよ」



「でも……」



りのんが少し残念そうな顔をする。



「玄関までで気持ち受け取らせてもらうね」



そう言うと、りのんが小さく笑った。



「……わかった」



玄関まで歩く。


靴を履いて、立ち上がる。



「今日はありがとうございました」



振り返って、お母さんに頭を下げる。



「こちらこそ。今日は来てくれてありがとう」



「いえ……」



少しだけ迷ってから、俺は口を開いた。



「お母さんとご飯食べられて、楽しかったです」



「ふふ。そう言ってもらえてよかったわ」



そして、お母さんが優しく笑った。



「こちらこそ、りのんと仲良くしてくれてありがとう」



「……」