「りのん、よかったね。」
「え?」
「柏木くんと同じクラス!」
「ひ、ひな……!」
顔が熱くなっていくのが分かる。
「からかわないで……。」
そう言うと、隣から小さな笑い声が聞こえた。
「ふっ。」
「湊くんまで……。」
私が少しだけ頬を膨らませると、
「悪い。」
そう言いながらも、どこか楽しそうに笑っている。
その笑顔を見ていると、私まで笑ってしまった。
「ほら、行こう!」
陽菜が私の背中を軽く押す。
「高校生活最後の一年、スタートだー!」
私たちは顔を見合わせて笑い、三人並んで校舎へ向かった。
桜の花びらが風に乗って舞う。
高校三年生。
この一年が、私たちにとってどんな春になるのか。
まだ、この時の私は知らなかった。

