誰かが言っていた。
───初恋は、実らない、と。
どこかで聞いたその言葉通り、俺の最初の恋は、綺麗に実ることなく終わりを迎えた。
胸の奥に小さな痛みを抱えて、恋なんてきっと、少し苦いものなんだって思っていた。
だけど。
傷ついて立ち止まっていた俺の前に、君は突然現れたんだ。
ひだまりみたいに笑う君を見ているだけで、過去の痛みなんて、いつの間にかどこかへ消えていってしまう。
初恋を失った代わりに、俺は今、あたたかい幸せの中にいる。
まだ君の知らないところで、俺は今日も、君への愛しさを募らせているんだ。
「───葵」
「……なんだ?」
驚いたように俺を見つめる葵に向けて、俺は心からの笑みを浮かべた。
「……そんな心配そうな顔しないでよ。俺もさ、ちゃんと見つけたんだ」
脳裏に浮かぶのは、大切な君の笑顔。
「───あいつの代わりに、世界で一番愛しい、俺の幸せを掴んだよ」
〜fin〜



