「からかってないよ。……本気だから」
彼女の顎を指先で優しく押し上げ、赤く震えるその唇に、深く、自分の熱を重ね合わせる。
「ん……っ、こん、さ……」
驚いて小さく漏れた吐息ごと、彼女の全てを吸い上げるように口づける。
───夜の静寂の中で、俺たちの唇が重なるリップ音がやけに生々しく鼓膜を揺らした。
息が苦しくなって一度唇を離しても、彼女を抱きしめる腕の力は微塵も緩めない。
涙で濡れて、さらに真っ赤になって潤んだ瞳で見上げてくる彼女の耳元に、今度は低く、とびきり意地悪で甘い声を忍ばせる。
「ねえ、お試しはもう終わりって言ったでしょ? ……これからは、俺の過保護に毎日付き合ってもらうからね。覚悟して?」
「……っ、はい……っ」
恥ずかしさに耐えかねて俺の首にしがみついてくる花梨ちゃんを、俺は満足感に包まれながら、壊さないように、でも誰の手にも届かないように強く強く抱きしめ直した。
かつての初恋に完全なサヨナラを告げて。
俺は、俺だけの小さな愛しい小動物を、これから一生かけて、底なしの愛で溺愛していくことを心に誓った。
「君のはじめて────俺に、ちょうだい?」



