片想いが終わる頃、恋が始まる。【完】




「葵、翡翠。……本当に、おめでとう。世界一、お似合いの二人だよ」



ほんの少しだけ、胸の奥がチクッと切なく痛んだけれど。

……声が震えないように、心からの祝福を込めて言葉を紡ぐ。





「……ありがとう、紺」


嬉しそうにはにかむ翡翠と、その隣で彼女に愛おしそうな視線を注ぐ葵は。


それに似合う言葉が出でてこないくらい綺麗で───美しかった。




「本当に、本当に───おめでとう」



いつかきっと、俺も新しい恋を見つけるから。


───それまでは。

俺の分まで……二人が、幸せになってね。










葵はカチンと俺のグラスに自分のそれを合わせると、ぶっきらぼうに、だけど男らしい優しさを滲ませて口を開いた。




「……ありがとな、紺。お前のおかげだ」



葵の言葉に、俺はただ「何のこと?」と困ったように眉を下げて微笑み返す。




───すると、葵は、フッと口元を緩め、俺の肩をポンと力強く叩いた。





「お前も早くいい相手、見つけろよ」

「……うん、そうだね。俺も葵たちに負けないくらい、幸せになるよ」



嘘偽りのない、約束。


二人の背中を見送りながら、俺は心の中で、そっと自分の初恋に鍵をかけた───…