「あのさ。……俺、今までずっと翡翠のことが好きだった。」
「え……っ」
翡翠の大きな瞳が、驚きで丸くなる。
動揺する彼女を困らせたくなくて、俺は慌てて、さらに柔らかく眉を下げて笑ってみせた。
「あはは、そんなに驚かないで。もう"好きだった"っていう、過去形の話だから」
「紺、私は……」
「謝らないで。翡翠が悪いわけじゃないし、葵には絶対に内緒だよ?……君がアイツの前でだけ見せる顔、すごく綺麗でさ。悔しいけど、本当にお似合いだなって思っちゃったんだ」
喉の奥がツンと痛んで、おもわず溢れそうになる涙を、いつもの優しい幼馴染の仮面で必死に押し殺す。
「君を好きになれて、俺の毎日はすごく幸せだった。……だから、ちゃんと言って終わらせたかったんだ。……今まで俺の近くにいてくれて、ありがとう」
翡翠の頭を、ぽん、と一度だけ優しく撫でて、すぐに手を離す。
「……これからは、あいつの隣で、思いっきり幸せになってね。」
……すぐには、無理かもしれないけど。
───いつか、いつか。
ほんとうの"幼馴染"として、君の前で笑えるように頑張るから───……


