「そもそも、どうして私が隠し事をしているだなんて思ったの?」
「……今日の昼、話してたよね。俺に秘密にしてることがあるって」
「……聞いてたんだ」
「うん。遠かったし、詳しい内容までは聞こえなかったけど……」
部署内には私と祐子しか残っていなかったから、まさか偶然通りかかった良平くんに話を聞かれているなんて思ってもいなかった。だけど、寝顔の件までは聞かれていないみたい。
内心でホッとしていれば、良平くんはムッとした顔をして、私の頬を包みこむように両手で触れてくる。
「でも、俺には絶対に言わないでって、詩織ちゃんが必死なのは伝わってきたよ」
「えーっと、それは、その……」
「誰にでも言いたくないことの一つや二つ、あるとは思う。だけど、里中さんには言えるのに、俺には知られたくないんだって、そう思ったら……ごめん、嫉妬した」
――ああ、私は馬鹿だ。
くだらない秘密のせいで、良平くんにこんな寂しそうな顔をさせてしまった。
寝顔を隠し撮りしていたことだって、遅かれ早かれ、いつかはバレていたかもしれない。だったら今ここで正直に白状して、素直に謝った方がいいだろう。
これ以上隠し通すことなんてできないし、したくないと思った。
「良平くん、ごめんね。実は私、良平くんに隠していたことがあって……「待って。やっぱり聞きたくない」
真実を伝える前に、良平くんの大きな手のひらに口元を塞がれてしまった。



